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日本株へのシフトを進める香港投資家

更新日:8月23日

去る7月上旬に香港でコーポレートデイ/Hidden Diamondsを弊社主催、JPX後援で開催した。JPXさんからは、運営支援・接遇に加えて投資家向けにランチプレゼンテーションも実施していただき、参加者にとっては大変有意義なイベントとなった。弊社の海外でのIRイベントは今回で11回目となるが、コロナ禍で中断して以来実に4年ぶりの開催となった。日本から5社の経営メンバーにお越し頂き、のべ45人の投資家と面談できた。1日だけの参加が基本だったので平均すると1社あたり9人の投資家と1日で面談できたことになる。スピーカーと通訳にはタフな1日だったが、参加企業の皆様からはとても効率的だったとご好評いただけた。(写真はネットワーキングセッションとJPXプレゼンテーション)





今回のイベントの狙いは、新規投資家開拓で、比較的日本株投資を最近始めた、若しくは強化し始めた投資家をターゲットにした。というのも日本のメディアでも多く取り上げられているが、中国経済の不振は深刻で、これまで中国・香港株に投資してきたプロ投資家も今回の不況は長期化するとして脱中国を進めているが、有望な投資先として日本が最も注目されているからだ。下記グラフは2024年上半期までの外国人投資家の買い越し状況と取引シェア、株主比率である。(JPX資料より)




香港というと近年の民主化問題もあり金融センターとしての地位が低下している印象はある。景気の悪化と米中間のデカップリングにより大型ディールが少なくなった分、投資銀行業務は縮小した感は否めないが、資産運用分野で見るとやや風景は異なる。下図は香港のアセットマネジメント業界で資金拠出国の比率である。(出所:HK SFC Asset Manaagmenet Industry Survey 2022)




香港・中国は合計45%で欧米を含めたその他の国が55%を占めており、この比率は雨傘運動後の2019年の数字とほとんど変わっていない。つまり欧米の運用会社、金融機関も金融センターとしての香港の行政・法的枠組みにリスクを全く感じていないようである。

実際、大手運用会社がオフィスを閉めた、外国に移転したという話はほとんど聞かない。以前、雨傘運動の最中に香港へ出張した際、英国人のファンドマネージャーが25階にあるオフィスまで催涙ガスの匂いが上がってくるので引っ越すつもりだと言っていた。筆者は他国へ移転するのかと思ったが、実際には近くの80階建てのビルに移り、今でも落ち着いて香港を拠点として仕事をしている。




上図は香港の機関投資家が運用する資金228兆円(2022年12月現在)の投資先の比率である(国ベース)。日本へのアロケーションは4%で9.12兆円であるが、香港・中国への投資配分(45%)から2%だけ日本にシフトするだけでも4兆円を超える計算になる。2023年度の外国人投資家の日本株買い越し額は7.7兆円だったので相当なインパクトに見える。

統計数字は過去のものしか確認できないが、筆者が香港投資家と接している肌感覚では、中国株に偏重していたポートフォリオを見直し、新たに日本株をリサーチし投資を始めている投資家が非常に多い印象である。


下図は4月4日日経電子版からの抜粋である。2023年4月~24年1月、10ヶ月間の主要海外投資家の日本株買い越し額だが、香港がなんと米国を抜いて英国に次ぐ2位の地位を占めているという。



SESSAパートナーズでは、今年2回目となる香港コーポレートデイを11月19-20日で予定している。香港投資家の資金シフトを肌で感じたい方は是非参加してみてはどうだろうか?今回の参加枠は6社で、時価総額等の基準は設けていないが、伝えるべきエクイティストーリーが明確であれば活発な議論が期待できよう。


SESSAパートナーズ

代表 杉渕均









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