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物言う株主/アクティビスト投資家に存在意義はあるか?(IR Magazine)

Mifid IIがグローバル・スタンダードになるという欧州金融当局の長年の信念は、米国の大手運用会社であるインベスコ、ウェリントン・マネジメント、ドッジ&コックス、T Rowe Price、MFSなどの動きで現実に近づきつつある。彼らが米国でMifid IIのような費用の可視化ができるルールを採用できるようSECに要望しているからだ。

2017年10月、SECは米国の銀行や証券会社に対し、Mifid IIを採用することに30ヵ月のペンディング期間を設定した。これによりSECは来年夏までにリサーチと取引執行のための手数料分離に関する最終的な立場を表明しなければならなくなった。Mifid IIではファンドマネージャーは現金でリサーチ費用を支払う必要があり、委託手数料に含めることはできないため米国でこの猶予期間が必要であった。なぜならSECの規則は、運用会社に委託手数料にリサーチ費用を含めて支払うことを求めており現金で証券会社にフィーを払うことを禁じているからだ。このためSECの規則と欧州のMifid IIは矛盾した状態になっている。

現在、SECが規則を変更しようとしているのは幅広いルールの一部との観測である。全米機関投資家協会(CII)のケン・バース理事は、IRマガジンに次のように語った。「SECルールの見直しはCIIが求める方針に沿ったものであり、特に価格の透明性を望むメンバーの要望に沿ったものである。何故なら欧州の投資家は手数料透明化の恩恵を受けているのに米国投資家はそうでないからだ」。

CIIのジェフ・マハニー法務部長はもっと踏み込んで次のように語った。「理想的なシナリオは、Mifid IIが取引執行コストをリサーチやその他のサービスのコストから切り離すことがCIIの方針に沿って米国の標準となることである」。

このように議論が活発化している状況で、Mifid IIが実行されてから15カ月の間に欧州で何が起きているのかを確認することは有益であろう。

英国金融行動庁の調べによれば、運用会社によるリサーチ費用は20-30%減少し、英国で運用される株式ファンド全体での費用削減額は2018年に1億8千万ポンド(234百万ドル)で、5年間で10億ポンドと見積もられている。

「アンバンドル・コミッション(リサーチ費用と取引執行手数料切り分けること)は、投資家にとってはバンドル・コミッション(リサーチ費用を取引執行手数料に含めること)よりも低いコストを意味するというこの証拠に直面し、アメリカの投資家達からこのアンバンドル化を可能にするための大きなロビー活動が始まった。SECは米国のルールを変えざるを得ない状況になっている。欧州の投資家が米国でアンバンドル化することができるが米国の投資家はできないという矛盾は米国投資家にとって許容できるものではないからだ。」とingageのMichael Hufton CEOはIRマガジンに語った。「SECがMifid IIを認めていないからと言って、米国で欧州の投資家にアンバンドルされた費用をバンドルに戻し費用を引き上げさせるようなとは意味がない。もしそんなことをしたらバカげているだけでなく米国市場の競争力を削ぐことになる。アンバンドリングのルールが米国市場にも及ぶことは既定路線であって問題はいつか? である。」

SECはこの矛盾を解決するために業界のコンサルタントと協議を進めている。昨年12月にSECのジェイ・クレイトン会長は、Mifid IIのリサーチルールが欧州であらゆる規模の証券会社、投資家、発行体にどのように影響を及ぼしているかについてフィードバックするよう求めたという。しかし、どう考えてもSECがMifid IIの米国上陸を阻止するのは難しいと言えるだろう。「このような米国内投資家からの圧力を前提にすれば、現在の猶予期限を終わらせMifd IIを拒否することは考えられず、それを延長することはあるかもしれないが、米国投資家よりも欧州投資家に有利な状況をいつまでも放置することは考えられない」とHufton氏は言う。論理的な結論は、やはりSECが規則を変更し、Mifid II

を受け入れるしかないようだ。IRマガジンはSECにこの問題についてコメントを求めたが回答は得られなかった。

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