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欧州の運用会社、調査費用はMifid II施行後に減少(IR Magazine)

CFA(欧州アナリスト)協会の調査によると、独立系リサーチ会社はMifid IIのネガティブな影響を受けているという。欧州の運用会社のリサーチ予算はMifid IIの導入以降減少しており、独立系リサーチ会社が新規制の恩恵を受けていないどころかシリアスな状況に追い込まれているようだ。これは最近発行された世界的なアナリスト団体であるCFA協会の報告書により明らかになった。

Mifid II導入の翌年には、リサーチ予算の縮小は大手運用会社ほど傾向が顕著で平均減少率は6.3%であった。そして、運用会社の規模が大きくなるにつれて予算の削減額は増加した。2,500億ユーロ(2,830億ドル)以上の資産を運用する企業の場合平均予算の削減率は11%であるが、10億ユーロ未満の資産を運用する企業の場合予算の変更は無視できる程度であった。この調査によると独立系調査会社はMifid IIの恩恵を受けていないことがはっきりしている。競争の激しいリサーチ市場が調査会社の収益を圧迫し、セル・サイドのアナリストも少なくなっているからだ。バイ・サイドの回答者の57%がMifid II以前よりも証券会社含めた外部のリサーチ利用を減らしていると回答している。

小型株への影響

運用会社は予算を落としてもレポートの質は変わらないと考えているが、証券会社の回答者はより否定的で44%がリサーチレポートの質が全体的に低下していると考えている。同様に回答者の44%は特に中小型株レポートの質が低下したと回答している。バイ・サイドとセル・サイドの回答者のいずれにおいても、レポートの質が向上したと答えた回答者は10%未満で少数意見だ。多くの回答者が、アナリストがカバーする企業数の減少に懸念を表明しており、バイ・サイドの回答者の47%、セル・サイドの回答者の53%が中小型株のカバレッジ数の低下を報告している。54%のセルサイドの回答者はアナリストの人数自体が減少したと回答した。

競争の激しい市場

この調査の数字を分析したingageのマネジングディレクターであるMichael Hufton氏は、「リサーチのための投入コストはほとんど人件費であるため、予算が削減されるということはアナリストが締め出されていることを意味する。よって、少なくとも短期的にはレポートの質が低下することは当然の結果だ。」と語った。

これはいくつかの事象にも現れている。それは、そろそろ潮時と引退を考える経験豊富なアナリストたち、そして、より多くの株式をカバーするように依頼されているアナリストたちの増加である。

Hufton氏によると、この調査はMifid II前の慣行についてもいくつかのことを明らかにしている。Mifid IIの改革の主な動機は市場慣行に根本的で致命的な欠陥があるという点であった。すなわち、リサーチはファンド・マネージャーによって購入され利用されたが、運用を委託している顧客が支払わされたということである。

「リサーチ費用を運用会社が負担することになり、その結果その費用が大幅に削減されたことは、この改革の正当性を示している。以前の枠組みでは、ファンドマネージャーの善管義務として『顧客が負担する費用については自分のお金のように誠実に判断しなさい』ということであったが、Mifid IIの透明性のある価格設定が導入されたことでリサーチ支出が大幅に減少した。これはそれ以前に過度な支出があったことを意味している。」とHufton氏は語った。

リサーチの競争が少ないと答えた回答者は25%であったのに対し厳しいとの回答者は39%であった。全体として回答者はリサーチビジネスの競争が激しいと考えている。CFA協会のリサーチヘッド・Rhodri Preece氏は懸念を次のように語った。「Mifid IIはリサーチビジネスに透明性と競争をもたらした。しかし、資産運用会社がリサーチ費用を吸収するにつれ予算が大幅に減少し、リサーチ会社の間でリストラ・再編を引き起こしている。証券会社や独立系リサーチ会社はそのしわ寄せを受けており、特に中小型株ではリサーチ・カバレッジ数の低下、アナリストの減少が見られる。」

CFA協会のこの調査は、Mifid IIの影響を調べる欧州初のサーベイとして実施された。回答者は投資業界のバイサイドとセルサイドに加え上場企業のCEO、CFOも含んでおり

欧州の500人近いポートフォリオマネジャー、アナリスト、その他の専門家にリサーチレポートの費用、質、カバレッジ数についてMifid IIの影響をヒアリングした。

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